月光を浴びて月下美人がむくむくと膨らんだ。
時間を置いて様子を見ていたから違いがわかった。月のエネルギーを吸っているようで
翌朝見たら、昨晩と変わらないように思えた。
その日の夜は疲れていたせいなのか、無性に眠くなり早めにベッドに入った。
夜中、何かに起こされ、月下美人を覗くと開花を始めている。
今年は7月の終わり、9月始めと二度開花したが、いずれも忙しくて、気づいた朝は
咲き終えた後だった。二度も気がつかなかったからかな。
10月に入り三度目の開花時、月下美人に呼ばれたように思う。
翌朝、萎れても存在感を放つ花に、開花時に立ち会えなかったことを詫びた。
耳元で囁くように「ごめんなさい」と。
すると、「私を食べて」と言う。いやそのように聴こえた。
満月のエネルギーをたっぷり含んだ月下美人の花をゆがき、
ポン酢とたっぷりの胡麻をかけて食べた。
命を戴いたと思った。
戴いたエネルギーをみんなで分かち合おうと思った。
そして、命は巡るのだと思った。
Comentarios