ボイスアートの誕生
自分は何者なのか、唯一の自分を知りたい、そして、それを表現したいということがあると思います。
これは、私たちが生まれてきた理由ではないでしょうか。
私もそう思った一人でした。
1995年よりスタートした「ボイスアート」、その答えを自分なりに見いだせたように思います。
「息」という字は自分の「自」に「心」と書きます。
この自分の息を聴いたのは、1995年阪神淡路大震災に遭い、強い鬱になった時のことです。
「生きているか、死んでいるかわからない時間」。
前年に離婚して、家や仕事を失い、小さい子どもを抱え、苦しくて、歌うことはおろか、声を出すだけで心の中は。
血が流れていくような日々でした。
そんな頃、滋賀県朽木村に来ないかと誘われ、山の中にある友人宅に宿泊しました。
翌朝、河原でおもむろに声を出してみると、聴こえてきた自分の声は外ではなく、自分の心に向かっていました。
瞬間、怒涛のように涙が溢れ出たのです。
その涙は、繋がりたいのに繋がれなかったことへの、怒りや悔しさの感情でした。
いい人にみられたかった私は、それを押さえ込んでいたのだと思います。
自分の声を聴いて癒されることがあると気づいた初めての経験でした。
こうして声を聴く行為から、「ボイスアート」が生まれました。
最後に、ボイスアートと名付けた理由についてお話しします。
長くセッションに来られた方の声を聴いてきて、
声と息には、その人の人生がそのまま現れると私は感じています。
声(ボイス)は人生そのもの。私たちは、表現(アート)をして生きている。
全ての人は、人生のアーティストだと考えるようになりました。
生きることは、アートそのもの。
ボイスアートと名付けた理由です。
息を辿っていくと、今ここにいる自分が、「喜びと感謝」で満たされていきます。
これが私たちの本質であり、私たちは、この本質(喜びと感謝の存在)を知るために、今を生きているのです。
そして一番身近にある、「息」が、たしかな道標となってくれることでしょう。
ボイスアートで、そのお手伝いが叶うことを願っています。
ボイスアートマスター まや はるこ